海沿いの地域で電気の配線工事などを行う際は、塩害に注意する必要があるということがよく言われます。塩害とは海から吹く風に含まれる塩分が木材や金属などの表面に付着し、腐食を早めたり錆びやすくしたりすることをいいます。電気の配線に用いるケーブルの被覆もまた塩分の影響を受けやすく、塩害によって劣化すると中の銅線がショートしたり断線したりといったトラブルを引き起こすことがあります。また、ケーブルを縛っている結束バンドも、通常の製品に使われているナイロンが塩分には弱いため、沿岸地方で工事をする時は耐塩性を備えた特別なタイプのものを使います。
一方、決して海から近いわけではないのに、塩害に気を付けなければならない地域もあります。それは、冬季になると気温が氷点下レベルに下がる地域です。こうした地域では冬になるとしばしば凍結防止剤を使用しますが、多くの凍結防止剤は主原料に塩化化合物が使われています。これは塩が水の凝固点を下げる作用を持っていることによるものですが、道路などに凍結防止剤が撒かれると、そこを通行する車両のタイヤにはね上げられて周辺にある電気設備などに付着することがあります。
そうなると、屋外に露出しているケーブルや結束バンドの性能を劣化させる結果となります。そのため、海沿いの地域における場合と同じように、ケーブルは特別な被覆のものを、結束バンドについては耐塩性を備えたタイプの製品を使用する必要があります。